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赤字部門や製品からの撤退・廃止基準は?採算計算をわかりやすく解説

簡単に解説|赤字の仕組みと脱却の考え方小売業の計数中級編
簡単に解説|赤字の仕組みと脱却の考え方

赤字部門から撤退したら、利益は増えるのでしょうか。赤字部門からの撤退を考える上で、原価や固定費、変動費など様々な要素を検討する必要があります。

店舗運営や会社経営において黒字であるか赤字であるかは重要な違いとなります。

赤字とは手元から資金が出て行っている状態であり、例えるならば水の入ったバケツに穴が開いている状態です。一方で、黒字とは手元に資金が余る状態であり、ビジネスをするなら永続的に黒字の状態を保てるのが良いのは明白です。

黒字を継続できるのかは、ビジネスモデルが適切である必要があります。

出典:https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/612748

赤字になっているということは、事業モデルが適切でないことを意味しています。

この場合、事業モデルや変動費・固定費の見直しが必要となってきます。

また小売店舗においてはお店の管理者である店長などが、自店の置かれている状況を分析して、適時上司や経営陣へ報告することも必要です。

今回の記事では、赤字に関して以下の3点を解説しています。

今回の記事のポイント
  • 赤字とは
  • 赤字への対処法
  • 不採算部門から撤退する時の考え方
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赤字とは

支出(各種経費)が収入を上回る状態を指します。

支出で代表的なものは以下の5つです。

主な支出
  • 地代家賃
  • 光熱費
  • 人件費
  • 輸送費
  • 仕入原価

収入とは、商品を販売して得た売上金額(売上高)です。

支出>売上金額(売上高)の状態を赤字であるといいます。

赤字の仕組み

商品を販売して利益を得ようとするときには、商品の仕入原価に輸送費、梱包費、人件費、販促費、家賃地代等を上乗せして各種経費を上回る販売益を出さなければなりません。

従って、赤字に陥るパターンとしては、主に以下の3つがあげられます。

  • 仕入原価が高い
  • 販管費が高い
  • 売値が安い
簡単に解説|赤字とは⁉損益計算書で見る仕組みと脱却の考え方:赤字の仕組み

仕入原価が高い

小売業では原価率は良くておおむね平均70%程です。つまり、残りの30%から販管費などを負担しなければなりません。原価率が高くなればなるほど、費用の負担が厳しくなり赤字になりやすくなります。

販管費が高い

仕入原価が高くなくとも、販売のための費用をかけ過ぎていると利益の確保は難しくなります。

例えば出店場所の家賃が高すぎて利益が圧迫されたり、必要以上に人を雇ってしまい人件費率が高くなる、商品の包装や梱包に費用が掛かりすぎてしまうなどがあると赤字になりやすくなります。

売値が安い

売値が安いと利益の確保が難しくなります。販売価格を下げた方が売れやすくなる傾向はあります。

しかし販売価格を下げるということは、利益率が下がることを意味します。利益確保の観点からは、無駄な安売りを避ける工夫をするというのが大切です。

赤字脱却への道筋

赤字脱却には、黒字化を実現するための計画性が重要になります。部門ごとの収益を見直したり、場合によっては不採算部門からの撤退を考えなければなりません。

黒字化のためには販売計画の作成が必須

良く考えずに雰囲気で商売をするのはよくありません。計画を立てずに利益や経費の関係性に無頓着なまま商売を続けると全体像が見えにくくなり、気が付いたら赤字だった、気が付いたら手遅れだったということにもなりかねません。

赤字経営に陥った時に、まず迫られる対応は次の3つ。

  • 資金がショートし、仕入ができなくなる。
  • 人件費が賄えず、人員整理を余儀なくされる。
  • 事業や部門の縮小に迫られる。

上記のような事態を免れるためには、必要な利益を計算し、仕入や各種費用の最適化を含めて、事業継続に向けての販売計画を立てる必要があります。

販売計画を立てるためには、市場環境を適切に把握したり競合他社と何で差別化を図るかを考えなければなりません。

「SWOT分析」などを使って、論理的に計画を立てることで、振り返りもしやすくなります。

赤字部門撤退の考え方

赤字部門を撤退すれば、収益改善につながるという考え方は必ずしも正解とは言えません。

この場合、赤字部門から撤退するのが良いかどうかは、撤退後にどのように収益関係が変わってくるのかによります。

不採算部門から撤退する場合

不採算部門から撤退する場合に、人件費がかかっている場合や倉庫などの地代家賃がかかっている場合には、全部もしくは一部を採算部門が引き継ぐことになります。これらを無視して部門編成を行うと、不採算部門から撤退したにも関わらず赤字が増加することにつながりかねません。

ケーススタディ

下記のケースで考えてみましょう。

簡単に解説|赤字とは⁉損益計算書で見る仕組みと脱却の考え方:ケーススタディ①

部門Aと部門Bを見ると、部門Aでは200千円の営業利益が出ていますが、部門Bでは営業利益が‐100千円となっています。部門Bから撤退すれば黒字額が増えそうですが実際はどうでしょうか。

今回のケースでは、部門Bから撤退して部門Aに統合した結果、部門Aの売り上げが2倍になった場合を想定しています。


簡単に解説|赤字とは⁉損益計算書で見る仕組みと脱却の考え方:ケーススタディ②

今回、部門Aの売上高が2倍になるとともに、変動する数値はおおまかに以下の3点です。

  • 売上が2倍になるとともに変動費も2倍になる
  • 部門Aは部門Bの固定費を引き継がなければならない
  • 部門Aは部門Bの販促費も引き継がなければならない

売上高が2倍になるに伴って、変動費(原価・輸送費等)も増えます。大量仕入れなどで原価を低減することもできることもありますが、今回は単純に2倍としています。

部門Bから撤退することによって、部門Bで使われていた人員や土地建物などの固定費も引き継がなければなりません。人員削減などの経費削減を行わなければ、部門Bの固定費をそのまま引き継ぐことになります。

販促費も同様に部門Aで引き継ぐ必要があります。販管費には広告宣伝費や消耗品、水道光熱費などがあります。これらに関しても、削減できない部分は引き継ぐことになります。

その結果、部門Aの売上は3,000千円から6,000千円に増えましたが、営業利益は▲300千円となってしまいました。

このように、赤字部門からの撤退を考える際には、それに伴う費用の引き継ぎも視野に入れて計画を立てる必要があります。

赤字部門撤退の判断のポイント

赤字部門からの撤退を考える際の判断のポイントに限界利益率で比較するというものがあります。

限界利益率は以下で計算できます。

限界利益=売上高-変動費

限界利益率=限界利益÷売上高

限界利益・限界利益率は損益分岐点売上高と関係が深い計数です。損益分岐点売上高については、以下の記事で解説しています。

限界利益率で各部門を比較することで、売買差益率だけでは判断できない要素が見えてきます。

今回のケースで比較すると限界利益率は以下の通りです。

項目部門A部門B合計
売上高3,0003,0006,000
売上原価1,5001,0002,500
販管費8005001,300
変動費計2,3001,5003,800
限界利益7001,5002,200
限界利益率23.3%50%36.7%

今回のモデルケースでは、限界利益率で比較すると部門Bの方が収益性が高くなっています。

従って部門における問題点は、最終的な営業利益の赤字にあったわけではなく、固定費が高かったことが原因であることがわかります。

それらを踏まえて、部門Bから撤退する前に以下のことが改善できないかを考えることができます。

  • 仕入価格は適正か
  • 設備費は削減できないか
  • 光熱費は削減できないか
  • 販促費は削減できないか

これらが改善できれば、部門Bが赤字部門から収益性の高い部門へ変わることができる可能性もあります。

まとめ

いかがでしょうか。今回は赤字に関して以下を解説しました。

今回の記事のポイント
  • 赤字とは
  • 赤字への対処法
  • 不採算部門から撤退する時の考え方

赤字部門の収益改善を考える際には、売買差益率だけではなく限界利益率も考慮する必要があります。

限界利益率を考慮しない部門撤退を行うと、意に反して赤字額が増加するなんてこともありえます。

包括的に考えて、確実性の高い判断をできるようにしましょう。