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【小売業】販売員なら知っておきたい計数

負け組と言われている小売業で年収600万を目指すために必要な知識|計数編小売業の計数
負け組と言われている小売業で年収600万を目指すために必要な知識|計数編

小売業に携わる者として計数の理解は大切です。

売上や利益、経費は全て数値で明確に表されます。その数値をコントロールするには相応の知識が必要です。

小売店の販売員においても、きちんとした店長やマネージャーなどを目指す上では、各種計数の知識は必須です。

計数を学び、合理的な判断ができるようになれば、昇給や昇進もしやすくなるでしょう。

2022年の平均年収は403万円です。そして年収の中央値は350万円です。

小売業でも平均年収ほどの給与をもらうのはそう難しくありません。

そして各業界の平均年収だけをみれば、一番平均年収の高い「金融」でも454万円ほどであり、この年収を稼ぐのもそう難しくはありません。

https://doda.jp/guide/heikin/gyousyu/

454万円であれば、小売業界の上場している企業であれば役職の付かない社員でも到達可能です。

この年収をひと月当たりに換算すると約37万円。手取りで約30万円ほどになります。

上場している小売企業でそこそこ仕事のできる社員や店長であれば、年収500万円を下回ることはないでしょう。

そこから上の年収600万円以上は上場小売業では上級店長(店長の中でも評価の高い店長)やSVやマネージャーなど本部スタッフクラスです。一見、上級店長やSVになるのは難しそうですが、離職率の高い(約19%)小売業においてはコツコツ取り組めばそう難しくはありません。

理由は、小売企業の多くは万年人手不足の問題を抱え、比較的採用基準も緩いため、社員の能力もバラバラでスキルの高い方も多くはありません。人手不足から店長にもなりやすく、その結果、店長のレベルにもバラつきがあります。

これには会社の行う研修の機会が少いことも要因としてあります。

そのため1つの店舗を任されている店長でも、計数や労務管理等のマネジメントに必要な知識に乏しい場合があります。

自分のしていることが数値や会社にどのような影響を与えそうかを把握しながら仕事をしているのとそうでないのとでは結果に大きな差が出るでしょう。

年収を上げる為に良い評価を得るには、上司との関係性など運や巡り合いのような要素も必要ですが、どのような店に配属されても業績を上げることができる「数字を持った」社員である必要もあります。

今回の記事では誰にでも取り組める、小売業で年収600万円を目指すにあたって知っておきたい知識を解説します。

中には馴染みのない用語も出てくるかもしれませんが、やれば誰でも理解できるようなものです。どの用語、考え方も現場で役に立ちますので、この機会にしっかり学んでおきましょう。

今回の記事のポイント
  • 計数管理
  • 労務管理

この記事の執筆者の経歴です。

執筆者の経歴
  • 大手小売業3社で店長やスーパーバイザーを経験
  • 社員研修や新人店長育成経験あり
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計数管理

「計数」とは辞書によると以下のように定義されています。

数をかぞえること。また、計算して得られる数値。「計数に明るい」「計数管理」

コトバンク:デジタル大辞泉

小売店舗においては店舗運営に関わる数値全般を指すと言えるでしょう。

例えば以下のものが計数管理の対象として認識されています。

計数の一例
  • 売上や粗利等の収益の管理
  • 人件費や販促費、在庫回転率など費用の管理
  • 上記に関わる予算の管理

小売業ではよく「ヒト・モノ・カネ・(予算)」の管理が大切と言われていますが、これらを管理する手段が計数です。健康診断でBMIや血圧などを数値で計るように、小売店舗の営業活動に関わるものを数値化したものが計数です。

売上ロジックツリー

売上ロジックツリーは小売業に携わったら、一番最初に知っておきたい知識です。

これは小売業の基礎中の基礎と言えるものであり、これを知ることで売上の構造を理解することができます。

1日の売上高が30万円で、客数が300人なら客単価は1,000円です。商品が450品売れたなら1人あたりの買上点数は1.5点となり、1点単価は約666.7円となります。

このような売上の構造を知ることで、売上対策をする際に、客数を上げるべきか、買上点数を上げるべきか、1点単価を上げるべきか、を判断できるようになります。

例えば上記の日販30万円では、仮に30人のお客様に+1点多く買ってもらうことができれば、1日に商品が480品売れることになり、買上点数は1.6点となります。

他の条件が変わらなければ、この際の売上高は

買上点数1.6点×1点単価666.7円×300人=320,016円

約2万円ほど売上が増えます。

1日の客数を20人増やすことができれば

客数320人×客単価1,000円=32万円

売上高は2万円程増えます。

初めはややこしく感じますが高度な計算能力などは必要としませんので、この機会に頑張って覚えましょう。

粗利益高

粗利益高は売上と同じかそれ以上に大切です。年商100億円や年商1兆円など、売上が高いと聞こえは良いですが、最終的には「粗利益高ー経費」が利益として残ります。利益の元となる粗利益高を十分に取れないと、経費が賄えずに赤字になります。年商が高くても企業の倒産が起こるのは、利益率が低いか、高コスト体制に問題があるためです。

JALは2010年に経営破綻しましたが、その年の年商は1兆9,000億円もありました。

どれだけ売上を上げることができても利益が確保できないと企業は倒産します。

人時売上高/人時生産性

人時売上高とは従業員一人あたりが1時間で稼ぐ売上高のことを指し、以下のように計算されます。

人時売上高=売上高÷総労働時間

「人時売上高」はどれだけ効率よく売上を稼げているかを数値化したものです。

一方で、人時生産性は従業員一人あたりが1時間で稼ぐ粗利益高のことを指し、以下のように計算されます。

人時生産性=粗利益高÷総労働時間

「人時生産性」はどれだけ効率よく粗利を稼げているかを数値化したものです。

小売企業では、この人時売上高や人時生産性を効率化の指標として採用している企業が少なくありません。

漠然と「今日は忙しかったけどがんばった」では、それが経営的に良いことなのか悪いことなのか判断しきれません。

例えば以下のケース。

①8時間勤務の社員2人と5時間勤務のパート3人で31万円売り上げた場合

31万円÷(8時間×2人+5時間×3人)=31万円÷(16+15)=人時売上高1万円

②8時間勤務の社員2人と5時間勤務のパート2人で28万円売り上げた場合

28万円÷(8時間×2人+5時間×2人)=28万円÷(16+10)=人時売上高約10,769円

この場合は、売上高は①のケースの方が高いですが人時売上高は②の方が高いので、「労働時間と売上高」という点で見ると②のケースの方が効率的な販売活動を行っていると言えます。

人時売上高と人時生産性を理解することで、客観的に経費と収益のバランスを判断することができます。

損益分岐点売上高

損益分岐点とは収益と費用がイコールになる分岐点を指し、小売業では一般的に売上総利益と「変動費」「固定費」がイコールになる分岐点を指します。

例えば毎月10万円経費が掛かる場合には、毎月10万円以上の利益を上げなければ赤字となっていしまいます。

そしてこの10万円の利益を稼ぐにも、粗利益率10%であれば100万円、粗利益率20%であれば50万円であり、必要な売上高は粗利益率によって変わってきます。

このような自店のビジネスモデルや経営状況などの諸要素を考慮した上での収益ビジョンを策定するのに有効なのが損益分岐点売上高の考え方です。

相乗積(粗利ミックス)

相乗積はドラッグストアやスーパーマーケットなど、粗利益率がバラバラの商品を扱う業界の中堅社員や売り場の責任者に必要とされる知識です。※コンビニエンスストアのように商品の値入率がほぼ一定に設定されている業界ではあまり必要とされません。

相乗積は大なり小なりのカテゴリー(ペット用品、飲料、お菓子など、一定の括りで商品群を分けたもの)で求めることが多く、計算式は以下になります。

相乗積(%)=売上構成比率×粗利益率×100

相乗積は数字が大きいほど、売上と利益貢の献度が高いカテゴリーとなります。

例えば売上構成比率が20%で粗利益率が10%のカテゴリーの相乗積は

20%×10%×100=2%

売上構成比30%で粗利益率が5%のカテゴリーの相乗積は

30%×5%×100=1.5%

売上構成比と粗利率の積

PI値

PI値のPIとは、「purchase(購買) index(指数)」の頭文字をとったものです。

購買指数とは、主にレジを通過したお客様1,000人あたり、特定の商品がどのくらい売れたかを意味します(販売数量PI値)。

PI値は、小売業の経営効率性を判断するために使われます。販売数量PI値が一般的ですが、売上高PI値や粗利益PI値を活用している企業もあるようです。

販売数量PI値は以下の式で求められます。

PI値=(販売数量÷レジ通過客数)×1,000

A店舗の客数が月間1万人でブドウが月間1,000個売れている場合のPI値は100です。

B店の客数が月間600人でブドウが120個売れている場合のPI値は200です。

この場合B店のブドウの方が購買比率が高いことになります。

販売数量PI値は数値を比較することがポイントです。

エリア内や全社平均、似た立地の店舗等でのPI値の高い商品が自店で適切に陳列できているかを確認することで、自店の売上改善に役立てることができます。

労働分配率

労働分配率とは、会社が生み出した付加価値(粗利益高/売買差益高)をどれだけ人件費に分配しているのかを把握するための指標で、以下の計算式で計算します。

労働分配率=粗利益高(売買差益高)÷人件費×100

労働分配率とは、簡単に言えば「粗利益高(売買差益高)のうち、人件費へ分配されている割合」のことを指します。

少ない人時で店舗運営を行えば、サービスレベルの低下を招き、過剰な人時で店舗運営を行えば利益を圧迫してしまいます。

労働分配率の目安は経済産業省から公表されています。

製造業46.1%            
電気・ガス業21.5%
情報通信業55.4%
卸売業48.4%
小売業49.5%
クレジットカード業・割賦金融業29.7%
飲食サービス業64.0%
全業種平均47.7%
経済産業省

経営安全率(経営余裕率)

経営安全率とは、利益=費用(固定費)となる売上(損益分岐点売上高)からどのくらい余裕をもって経営できているかの割合を示すものです。

売上が100万円、粗利が20万円(粗利率20%)、固定費(人件費や家賃地代など)が20万円のお店の場合は、

儲けた粗利20万に対してかかる費用(固定費)も20万ですから、お店に余剰資金は一切残りません。

この場合は経営における余裕は発生しませんので、経営安全率は0%です。

日本企業の経営安全率は10~20%未満が平均値となっています。経営安全率20%以上が安全とされています。

採算基準

小売店を運営していると、新規出店時の予測と実績に差があったり近隣に競合ができたりと、商品の販売動向と店舗のレイアウトに乖離が出ることが少なくありません。

不採算部門の縮小や撤退を考えた時に、一緒に考えなければならないのが固定費などの経費です。

不採算部門の縮小や撤退をすれば利益が改善しそうですが、不採算部門の縮小や撤退後は黒字部門が不採算部門で負担していた固定費などの地代家賃や人件費の一部または全部を引き継がなければなりません。

小売店で採算基準を考える時は相乗積も活用すると良いでしょう。

損益計算書

損益計算書は、会社や店舗の利益を知ることができる決算書類です。
損益計算書には、収益・費用・利益が記載されており、英語の「Profit and Loss Statement」を略して「P/L」とも呼ばれます。決算時に収益から費用を差し引いた利益を知るための書類です。

損益計算書を用いることで、一定期間の営利活動が適切に行われていたかを確認することができます。損益計算書とは学校における通知表のような役割を果たします。

まとめ

なんとなく仕事をしているのと、目的意識を持って仕事をしているのとでは、結果が全く変わってきます。

同じ練習をしていても、何を感じながらやっているかで、ぜんぜん結果は違ってくるわけです。

イチロー

そしてその目的を果たすために、適切な考え方ができるかどうかで、目的を達成するための労力も変わってきます。

適切な目標を立て、その目標まで最短で目指すことができる羅針盤になるものの一つが計数です。

一つ一つの項目は簡単な四則演算ができれば理解できます。とっつきにくいと思っても繰り返し学習することが大切です。

そして得た知識を自分のものにするために大切なことは、習得した知識は実際に仕事で活用することです。様々な数値を見比べて、店舗の現状や強み弱みを数値で把握してみましょう。